ひきこもり

面談とオープンダイアローグ

以前、面談はどのようなことを話すのかブログに書いたことがありますが、別の面談形式をとる場合があります。
ブログ:「ご両親との面談

それが「オープンダイアローグ」です。

オープンダイアローグはフィンランド西ラップランド地方で開発されてきた精神科医療の包括的なアプローチです。

オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン

詳しくは「オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン」のホームページをご覧ください。

コブルが「オープンダイアローグをその基本に則って完璧にこなせているか」というと、もちろん(!?)そんなことはないわけです。ただ拙くとも実践してきたことで、その効果を大いに感じています。

 オープンダイアローグの奥深さ

オープンダイアローグ(以下OD)は「精神医療の包括的なアプローチ」なのですが、精神医療に関係なく「対話」を重視する姿勢はひきこもりに関することでも大切だと思います。
それはODの7つの原則のうちの一つ「対話主義:対話を続けることを目的とし、多様な声に耳を傾け続ける」にある

対話することは何かの手段ではなく、それ自体が目的であり、解決はその先に現われるものである。

オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン 「オープンダイアローグ 対話実践のガイドライン 第1版」

という言葉に現れています。

ひきこもりの当事者やご家族と話していると、両者の間でコミュニケーションがうまくいっていないと感じることが多くあります。それは今まで「当事者になんとか社会復帰してもらいたい」というご家族の思いが、うまく本人に伝わっていない、伝えられないことが続いていたからだと思います。

うまくいかないコミュニケーションのパターンには
・相手の話を最後まで聞かず、自分の考えを話し始めてしまう
・相手の話や考えをネガティブに捉え、反発してしまう
・説得、要求といった「相手を自分の思うようにさせたい」という気持ちが強い
あたりが散見されます。

また当事者にとって「自分のことが自分のいない場所で決められてしまい、決定したことを伝えられるだけ」ということが多い。ODでは当事者も参加するので、そういったことが起こりません。

そして対話に同席している支援者(ここではコブル)が様々な質問や、そこで話されたことをリフレーム(別の視点が提供できるように言葉を言い換える)することで、対話が続いていく。

対話が続いていくことで失われていた家族間のコミュニケーションが取り戻され、後から振り返ると、当事者が次へと歩き出すきっかけとなっていたことがあるのです。
つまりODは既存のコミュニケーションに変化をもたらす。奥深いと思います・・・(実際は「奥深い」といえるほどODを理解しているわけではないんですが)。

 心の回復

なぜこんなことが起こるのか、まったく見当がつきません。
ただコブルが今まで立ち会ったODを見ていると、対話を通して自分の本心を伝えたり、相手がどう思っているか本心を聞くことになることで、参加者が様々な感情を経験することは確かです。

本心をいうことの恥ずかしさ、自分に感じる情けなさ、相手への怒り、あるいは罪悪感、悲しさ、嬉しさ・・・。
そんな感情がグルグルと行き交うことでODが終わった後はみなさん、ぐったりと疲れています。いや、でもこれは心地よい疲労感・・・。そう、筋トレをした後のような。

ODは心の筋トレみたいなものなのかな?と考えていたら、同席していた心理カウンセラーが「これは心の回復の過程に似ていますね」とお話しをされていて、筋トレ=超回復と結びつき、なんだか納得。

家族間のコミュニケーションを取り戻しながら、心の筋トレをする。そこに変化が生まれて解決が姿を現す。
今のところ、実感としてはこんな感じで、ひきこもりに関して効果を大いに感じています。

オープンダイアローグはどなたでも、どんな場面でも、そこに対話があれば行うことができます。
みなさんもぜひ試してみてください。

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