第2回 なぜ当事者に会わなくてもいいのか

ひきこもりの方へのサポートというと、まず当事者本人に会って話をする、というイメージを持つ方が多いかもしれません。でも実際の現場では、当事者に直接会わないまま、状況が少しずつ動き始めることがよくあります。

なぜでしょうか。

ひきこもりは、その人一人の中で起きていることではありません。家族との関係、近所や地域とのつながり、学校や職場での経験、社会全体の空気感など、その人を取り巻くさまざまな環境との相互作用の中で、その状態が続いています。言い換えれば、当事者の周りにある環境そのものが、今の状況に深く関わっているということです。

だとすれば、その環境に働きかけることが、サポートの入口になります。

その中でも特に日常的に当事者と関わっているのが、家族です。多くの場合、最初に相談に来るのも家族です。当事者本人は、相談員に会うことへの不安や抵抗感を持っていることが多く、すぐには動けません。それは当然のことです。そういうとき、家族が相談に来てくれることが、サポートの始まりになります。

家族が相談を続ける中で、少しずつ変化が起きてきます。当事者への関わり方が変わる、家の中の空気が変わる、コミュニケーションのパターンが変わる。そうした小さな変化が積み重なったとき、当事者が自分から動き始めることがあります。

相談員が当事者に直接会えなくても、環境に働きかけることで当事者に届くサポートがある。
それがひきこもりの方へのサポートの、一つの大切な形だと私は考えています。

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