第5回 専門家が地域に出ていくということ

ひきこもりに関わる専門家や資格を持つ人材は、実は少なくありません。臨床心理士、公認心理師、社会福祉士、精神保健福祉士、保健師・・・。そういった専門家が、各地にいます。

でも多くの場合、その専門家は施設や機関の中にいます。相談に来た人をサポートする。それが専門家の仕事の基本的な形です。

問題は、サポートを必要としている人が、必ずしもそこに辿り着けるわけではないということです。

ひきこもりの当事者や家族にとって、「相談に行く」ということはとても大きな一歩です。どこに行けばいいかわからない。相談していいものかどうかもわからない。予約を取ることすら、ハードルに感じる人もいます。サポートの場所はあるのに、そこまでの道のりが遠すぎて、辿り着けない人がたくさんいるのです。

だから私たちは、地域の中に出ていくことを大切にしてきました。

民間のひきこもり協議会を運営し、地域のネットワークづくりをする。市のサポートセンターと連携し、相談の窓口を広げる。サポーター養成講座を通じて、地域の中でひきこもりに寄り添える人を増やす。こうした活動を通じて、専門家と当事者・家族との距離を、少しずつ縮めていくことを目指しています。

専門家が地域に出ていくことは、サポートの質を下げることではありません。むしろ、サポートが本当に必要な人に届くために、欠かせないことだと私たちは考えています。

施設の中で待つだけでなく、地域の中に存在する。それが、私たちがこの活動を続けてきた理由の一つです。

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