第7回 「見守り続ければいい」は本当か

ひきこもりの家族が相談に行くと、「とにかく見守ってください」とアドバイスされることがよくあります。焦らず、じっくり待つことが大切だと。

確かに、見守ることが必要な時期はあります。でも、見守り続けて3年、5年と経過しても何も変わらないとしたら、それは別のアプローチを考える時期かもしれません。

私が大切にしているのは、「うまくいかないことを続けない」という考え方です。同じアプローチを繰り返しても状況が動かないなら、やり方を変える必要があります。見守りも同じです。

実は、「見守る」には二種類あると私は考えています。

一つは「静的な見守り」です。これは、それまでに就労を促すなど強いアプローチをかけ続けた後に必要な見守りです。当事者は長い間、外からの刺激にさらされ続けて疲弊しています。そういう場合は、意図的に距離を取り、当事者が回復するための時間と空間を確保することが大切です。これは積極的な意味を持つ「待つ」という行為です。

もう一つは「動的な見守り」です。家族と当事者のコミュニケーションが希薄になり、長い時間が経って関係が硬直しているとき、ただ待つだけでは状況は動きません。こういうとき必要なのは、家族が関わり方を変えていくことです。

動的な見守りには、三つの要素があります。

一つ目は「傾聴」です。当事者が話す苦しい状況を聴くとき、「私だったらそう感じない」「なぜそう思うのか」と評価するのではなく、「あなたならそのときどう感じただろうか」と、当事者の考えや立場に立って思いを巡らせることです。親自身の感覚を基準にするのではなく、当事者の目線に立とうとする姿勢が、共感的な理解につながります。

二つ目は「『私が変わる』という姿勢」です。ここで注意が必要なのは、「今の状態から何を変えたいと思う?」と当事者に問いかけることではないということです。その問いは、善意であっても「変わるべきはあなただ」「あなたが原因だ」というメッセージとして当事者に届いてしまいます。そうではなく、「変わるのは親自身である」という前提に立って、「私がどう変われば、あなたの力になれるだろうか」と問いかけること。その姿勢を示すことが、当事者との関係を動かすきっかけになります。

三つ目は「協働の申し出」です。困難な状況を乗り越えるために、一緒に考えていきたいという姿勢を示すこと。当事者を「サポートされる側」ではなく、一緒に解決策を考えるパートナーとして尊重することです。

見守ることは、何もしないことではありません。そして、見守り方にも種類があります。今の状況がどちらの見守りを必要としているのかを見極め、必要であればアプローチを変えていく。それが、本当の意味での見守りだと私は考えています。

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